2024/4/30/ この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

こぼれ言葉

〈幻想廃墟〉
其れは言葉の残滓が逝きつく処

〈流転回帰〉
万華鏡の如く、くるくると狂々と巡る擬似摂理

#サイト未収録
others
こぼれ話

「約束のヴェンデッタは竜の歌声と遊ぶ」よりトーリとフリア。
旅の途中。
……永遠を願う。ただ強く。

 夜空に白銀の月が架かっていた。
 月光を浴びて濡れたように光る草木を踏みしだき、フリアは夜の空を見上げる。
「今日は、中秋の名月ですね」
「チューシューのめいげつ?」
「東の最果てにある島国では、この季節の満月のことをそのように呼ぶそうです。とてもきれいな月」
「確かにそう言われると、特別きれいに見えるかもしれない……」
 そう言って、トーリも星空に浮かぶ明るい満月を見上げる。
 ふと、トーリがつぶやいた。
「きれいだね、月」
「ええ」
 フリアが月の明るさに目を細めれば、トーリが感じ入った様子で、本当にきれいだよね、と繰り返す。
 その素直な言葉に、フリアは万感の想いをこぼす気持ちでうなずいた。
「ええ、本当にきれいで……」
 言いながら、なぜだか不意に泣いてしまいそうになった。慌てて目を擦る。
「フリア?」
「な、なんでもありません。」
 トーリに背を向け、祈るように手を組む。
 旅が終わらなければいい。
 初めてそう思った。
 竜も見つからないで、このままずっと。ずっと、ただ、トーリとクィーと旅をしていたい。
 だって旅が終わったら、フリアは帰らなければならない。
 また、閉鎖された居場所で、息を殺して生きていく。

 ……永遠を願う。ただ強く。
 
 月明かりだけが、ここにあふれていた。CLOSE(閉じる)


#サイト未収録
#ヴェルシエル大陸
#本編未収録
novel

2024/4/26/ この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

サイト制作風景

リンクページのレイアウト考え中…
今こそよみがえれ立ち上がれバナー!!
20240426213908-admin.png
site making

2024/4/25/ この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

どこかの誰かの、伝えられなかったあの日の言葉

あたたかい息吹を宿す生命の躯に、氷のように冷たい死んだ心が横たわる。
壊れかけた夢のかけらを一つ一つ拾い上げてくれたのは、あなたでした。
誰か助けてと、救いを叫ぶ己の声を、誰よりも真っ先見捨てたのは他ならない自分自身だった。

#サイト未収録
talk
本日のフィディールとカヤ

するり、と。
掬うように一房、大地の色を映した髪を指先に絡められた。
とび色の髪に静かに顔を寄せた青年が、なんだか安心したように囁く。

「カヤの匂いがする」

まるできれいだというように、翡翠色の目を細めて微笑むものだから。
とっさに、私以外の女性にやっちゃいけませんよ、と、恥じらいを誤魔化しながら口を酸っぱくしてみた。

#サイト未収録
#オスティナート大陸
novel

2024/4/24/ この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

サイト制作風景

モモと不思議な魔法の小瓶用のタイトルの背景とフッター作成中〜
20240424195424-admin.png
site making
本日のフィディールとブランシュ

「ブランシュー」
「……」
「あ、ブランシュいた。朝ごはん食べないと冷めちゃうよ」
「……」
「ブランシュ?」
「お姉ちゃんって呼んでくれるまで動かない」
「ええ……?」
「動かないったら動かないの」
「何言ってるのさ。ほら行くよブランシュ」
「…………」
「ブランシュってば」
「……」
「姉さん」
「………」
「………」
「……………」
「……お姉ちゃん」
「フィディールだーい好きっ」
「調子いいんだから本当に」

#サイト未収録
#オスティナート大陸
talk

2024/4/22/ この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

今日の〈盤上の白と黒〉

ハインツ「昇格してぇ」
ニコレット「トップがなんか言ってる」
オズウェル「昇格もなにも隊長がトップなんですからこれ以上上がりませんよ」
ハインツ「昇格ーーーー!!!! クソジジイから引き継いでからずっと変わんねえとかーーー!!! 変化がねーーーー!!!」
フィディール「降格なら僕の権限でいくらでもしてやるが?」
ハインツ「えっ?(汗)」

#サイト未収録
#オスティナート大陸
talk
今度は類義語を聞いてみた(エルスとリュシアン)

「次の()()()を言ってください」
エルスからリュシアンへ質問

「素直な」
「えぐい」
「きれい」
「淫ら」
「幼い」
「図太い」
「お前の脳内変換機能は壊れてるんじゃないのか?」
「俺はいたって正常だぜ?」

#サイト未収録
#オスティナート大陸
talk
続々々:対義語を聞いてみた(フィディールとハインツ)

「”清い”の対義語は?」
「………(とっさにわからず長考」
「……」←現代語は第二言語。母語は古トルヴァトゥール語
「…………(更に長考」
「……」←僕の母語は現代語じゃないからな、の顔
「………えろい?(真顔」
「”汚い”だ!」

#サイト未収録
#オスティナート大陸
talk
続々・対義語を聞いてみた(ティア(ブランシュ)とフィディールとイリーナ)
(第1楽章あたりのイメージ)

「明るいの反対は?」
「明るくない」
「短いは?」
「短くない」
「……じゃあ細かい」
「細かくない!」
「イリーナお前は何を教えている!?」
「あら、余計なことは教えなくていいんじゃなかったかしら?」

#サイト未収録
#オスティナート大陸
talk
続 ・ 対義語を聞いてみた(トーリとフリア)

「トーリさん次の言葉の対義語を言ってくださいね?まずは、楽しい」
「つまらない!」
「明るい」
「ん、重い!」
「……。薄い」
「うるさい!」
「………厳しい」
「あったかい」

トーリさんの考える対義語はわたしが考えている場面で使ってるものじゃないですね? byフリア

#サイト未収録
#ヴェルシエル大陸
talk
怪しいの対義語がわからなったので、聞いてみることにした byエルス

「なあ、怪しいの対義語ってなんだ?」
「怪しくない、です!」

あってるけど違うんだよなあ。でもティアだしなあ byエルス

#サイト未収録
#オスティナート大陸
talk
ある少女の独白

……悲しいならさ、悲しいって泣いちゃいなよ。今なら見てないフリ、してあげるからさ。

byブランシュ・アファナシエフ

#サイト未収録
#オスティナート大陸
カヤの入隊秘話

「お前がオレをどう思っていようが構わねぇけどよ、対外的な問題もあるからここに所属してる以上、隊長って呼べ」
「はあ……。わかりました、ハ イ ン ツ」
「こ の ク ソ ア マ」

あの頃の私は大人げなかったというか尖ってたんです byカヤ

#サイト未収録
#オスティナート大陸
talk
外交都市イリ—・リーのある商家の男女の話(ラブコメ注意報!)

 ヴァリエンテ商家が、ベレンヘーナ商家を買収した。
 古い商家が多額の債権を背負い、経済的に落ち込んだところを他の商家に買収されるのは珍しくもない。
 そして、ここ外交都市イリー・リーにおいて、買収されて相手の傘下に入ることは、相手に隷属することに等しい。
 シルエラ・ベレンヘーナは、隷属する側になった。
 ただ、それだけの話で、その相手がよりにもよって──

(ラブコメを書いてみよう、というセルフ企画で書いたものになります!)

「……で、いつまでぶすっ垂れてんだよ」
 男の声に、シルエラはレース刺繍のクッションを抱きしめた。はしたなくソファの上に脚をあげ、座り込む。既に紅茶はすっかり冷めていた。
 左斜前には、書簡でいっぱいの仕事机を片付けもせず、椅子でゆったりとくつろぐ二十歳ぐらいの男の姿。
 そんな男のそばで控えるのは、古い柱時計のごとく微動だにしない還暦の執事。机の端に脚を投げ出した男を、執事はたしなめることもしない。
「ブスになるぞ」
「……なんで」
「あ?」
 やっとのことで絞り出した声はガサガサだった。広く高い天井に響かず、無様に散る。
 男はきょとんと学生みたいな顔で、シルエラを一瞥した。
 ああ、憎たらしい。憎たらしいことこの上ない。だが、家の窮地を救ってくれたのは間違いなく、この男だった。
 金の力をバックとする新興ブルジョア階級、ヴァリエンテ家の三男。
 シルエラの家を債権ごと買い取った男。
 そして、シルエラの幼馴染。
 ──クロード・ヴァリエンテ。
「なんで、あたしの家を買ったのよ」
「ピンチみたいだったから」
「よくヴァリエンテ家が、赤字まみれのベレンヘーナ家を買い取ることを許したものね。問題児の三男坊がやらかしたってゴシップでも書かれるんじゃない?」
「次男坊に比べりゃマシな方だろ。ある程度、事業で結果りえきは出してっから割と好きにやっても怒られねぇし。あと、プライベートで動かせる金はある程度あったからな」
「余計なことしないでよ!」
 ぴしゃりと甲高く叫ぶ。
 カチンときたらしい。クロードが片眉を持ち上げる。
「余計なことたあ、ずいぶんな言い草だな。お前んとこの従業員も、お前の親も、お前自身も、露頭に迷うこともない。こちとら感謝される理由はあっても、非難される筋合いはねぇな」
「あたしは、こんなことして欲しくなかった……!」
「だったら、なんで俺や他のやつらに相談しなかった。交渉のコツ、ルール違反にならない範囲でのツテや紹介。夜会にも商人組合にも顔出さなくなりやがって。お前んとこから仕事もらってた職人のじいさんがお前のこと心配してたぞ」
「あのねえ!」
 ばっと顔を上げれば、シルエラの白金の髪が乱れた。構わず黒髪の幼馴染を睨む。
「あなたは腐っても、ヴァリエンテ家の三男坊! そんなところと変な噂でも立ってでもみなさい! 癒着だ裏金だの、もっと大変になるでしょう!」
「なら正面から融資を申し込むっていう手だってあっただろーが! そうなりゃ、俺の親父だって外聞を気にして無下に扱わない──」
「そしたら、あなたが口添えしてくれるって!? 馬鹿にしないで! 銀行から融資を断られたからって、友達の家にどの面下げてお金貸してくださいって言えるのよ!」
 惨めだった。惨めさに涙が出てきそうになる。だが、泣くのは卑怯だ。ぐっと食いしばる。
「あなたさっきから好き放題言ってくれるけど、逆の立場だったら両親を連れてあたしのところに同じようにお金借りに来れた!?」
 初めてクロードが言い淀んだ。シルエラは畳み掛ける。
「お金っていうのはね、あなたもわかってる通り、貸したらもう友達に戻れないの! 対等な関係を失うの! 貸した方が絶対的に強いのよ! 返し終わっても、貸したという事実は変わらないし一生消えない! あたしは…っ、あなたとは…あなたとだって……」
 声が震える。弱々しい涙声は、覇気のない吐息となって消えた。
 心配してくれる友人はたくさんいた。
 みんな優しかった。だが、金銭が絡むことについては、どうしても頼れなかった。頼るわけにはいかなかった。

 だって、家のお金のことで、どうして頼れるのだろう。

 そうして友人を避けているうちに、華麗な社交を繰り広げる夜会や、数多くの裕福な実業家が集まる商人組合にシルエラ本人が行くことも少なくなった。そうやって商談の場や情報、そして友人。大切なものから自分から離れていった。
 水の底のような静けさが、室内に落ちる。
 やがて。
「……そうだな。もう、お前とは友達でも幼馴染でもねぇな」
「……っ」
 言葉が胸に突き刺さる。自分が放った言葉を返されただけなのに。
 彼に助けられたと思う反面、なにかとても大切なものを失ってしまった気がして、空虚になる。
「なら、友達じゃなきゃ問題ねぇよな」
「へ?」
「ガロフ」
「はっ」
 今まで一言も喋らず動きさえしなかった還暦の執事が、声を発した。
 あらかじめ用意していたとしか思えない素早さで、執事はシルエラの前、低いテーブルの上にささっと上質の紙を置く。
 シルエラは紙を見るなり目をむいた。
「ちょ、なにこれ──」
「婚姻届」
「こん……っ!?」
 シルエラの声が裏返る。
「お前が言ったんだろうが。金を貸したら友達じゃなくなるって。なら、結婚すりゃいいだろ」
「ど、どうしてそういう話になるのよ!」
「結婚したら相手の人生の半分、自分のモンみたいなとこあるだろ。夫婦になれば、お前ん家の金の問題に首突っ込むのになんの支障もねぇ」
「それ、は、で……も!」
「頭回ってねぇみてぇだから言ってやるが、第一、俺がお前んトコ買った時点で、事実上の結婚になることぐらいわかってただろうが」
「うっ」
 指摘に口元が苦く引きつく。
 買収にしろ合併にしろ、新しく傘下に入った商家の子と、買収した側の商家および傘下の商家の子とが婚姻を結ぶのは慣習だ。建前は、つながりをより強固なものにするため。商業都市メアンドレでは、邪道とされる考え。
 今回、シルエラは買収された側で、ベレンヘーナ家の一人娘だ。他に子がいない以上、シルエラが結婚するしかない。
 だが──
「あ、あなたのところなら、あなた自身があたしと結婚しなくても、他に同じ傘下内で相手はいるでしょう?」
「それじゃ意味ねぇんだよ」
 突然、クロードが怒ったような顔で言ってくる。
「意味がない……?」
「いや、お前と似たような年の子供、今は俺ぐらいしかいねぇし」
「別に年上でも年下でも──いいえ、そもそも婚姻にこだらわなくてもいいでしょう? 使用人でも従業員でもなんでもすればいいじゃない」
「同感だがそれができりゃ苦労はしねぇし、ついでに言わせてもらえんなら、お前をそういう風に扱ったら、お前んトコの従業員に白い目で見られるだろーが。お断りだね。息がつまる」
「嫁にもらっても似たようなものでしょ!」
 シルエラが毅然と言い切れば、のほほんとした執事が下から何かを差し出してくる。
「まあ、そうおっしゃらずに。シルエラ様、こちらのペンを」
「だからサインなんてするものですか──って、あら? このペン……」
 気づき、目が止まる。
 執事から恭しく差し出されたのは、光沢の美しい木箱に納められた未使用と思しき万年筆だった。紅い万年筆の表面には、金銀で箔押しされた花模様。見間違いがない。思わず手に取って確かめる。
「これ……クレッシェレのペンじゃない。しかも十周年記念の」
「え」
 ぎくりとした動揺は、クロードからだった。いきなり、がたがたと慌てたように引き出しをひっくり返し始める。
「左様でございます」
「このメーカーのペン、素敵よね。私も父様にプレゼントでもらったけど」
「こちらは三年前、坊ちゃまがシルエラ様のお誕生日ブレゼントに、と購入されたものでございます」
「え?」
「じじぃ!?」
 ばん!とクロードが机を叩いて立ち上がる。
 ガロフは胸元からハンカチーフを取り出すと、目頭に当てた。涙ながら、そっと語り出す。
「ですが、当時、シルエラ様のお父様のプレゼントと重なってしまい……その頃、シルエラ様もご家庭の事情で皆様と距離を置き始めた頃。渡そうにも勇気が出ず、さりとて捨てることもできず、引き出しの中で日の目を見ずに終わるものかと思っておりましたが、まさかこのような形でお渡しできるとは」
「余計なこと言ってんじゃね────っ!」
 真っ赤な顔のクロードが、ものすごい剣幕で叫んでくる。
 シルエラは当惑で目を瞬かせた。今までのクロードとの会話が全部頭から吹き飛ぶ。
「な、……なんで、なんで渡してくれなかったのよ?」
 すると、クロードがものすごい仏頂面になった。教苑ステアケースの学生時代を思い出す顔。年齢はシルエラと同じでもう二十歳のはずだが。
 どすん、とクロードは乱暴に席に座り直すと、ぼそっと。
「……同じものは、二つもいらないだろ」
「ばか!」
 シルエラは反射的に叫んでいた。
「そんなわけないでしょう! あなたからのも大事に使うわよ……!」
 そう言って、ぎゅっとペンを握りしめる。
「シルエラ様……」
 ガロフが、感動したようにシルエラの名を呟く。
 直後、しれっと言ってきた。
「なお、あちらの棚には、今まで毎年坊ちゃまがシルエラ様のお誕生日のために購入されたものの渡せずに終わった数々の品が」
「ほんっとばっかなの!?」
「うるっせええええええええええぇぇぇぇぇぇっ!」
 だんだんだんと仕事机を両手で叩くクロード。反論できなくなると一気にボキャブラリーが減るのは学生時代とまるで変わらない。
 三年前、シルエラの家は少しずつ経営が傾いたために、友人たちと疎遠になり始めていた。
 それでも、この幼馴染は毎年シルエラのために、誕生日プレゼントを用意してくれていたらしい。
 胸に疼いていた苦い痛みがふわと溶け、温かいものが満ちてくる。無愛想な顔で、どこか照れた様子でそっぽを向く幼馴染は子供っぽい。学生時代を思い出して懐かしくなり、笑ってしまいそうになる。
 ふと、シルエラはガロフが示した棚をちらりと見やった。壁際の本棚二架にあふれる個人蔵書の隣、美術品のような風格を持つ棚が置かれている。
 シルエラはそわそわと期待と好奇心が弾んだ声で頼み込んだ。
「ね、ねえ、ガロフ。よかったら、クロードが買った他のプレゼントも見せてもらえないかしら」
「もちろんですとも」
「ありがとう!」
「俺の許可を取れ許可を!」
「では、こちらのペンで書類にサインを」
「しないわよ!?」
 クロードから舌打ちが聞こえた。
 ガロフがはらはらと涙を流す。
「やはりあの品々は日の目を浴びずに終わる定め……」
「そ、それとこれは話が違うわよっ」
「ケチケチすんじゃねーよ。サインの一つや二つ」
「サインする書類が書類でしょう!」
「きーきーきゃーきゃーうるっせぇな。別にいいだろ。どうせサインするしかねぇわけだし」
「よくな──」
「よくありませんわ!」
 ばんっと、扉が開く音。両開きの扉を開き、唐突に室内に入ってきたのは背の低い小柄な女性だった。つかつかときれいな足音で石床を進み、クロードの元へ真っ直ぐ向かう。
「お嬢様の婚姻! このアリコが異議を唱えさせていただきます!」
 肩まで伸びた黒髪を切りそろえた二十歳半ばの女性。清貧な黒い服の上に白いエプロン。頭には髪を押さえるシニヨンの頭飾り。紛れもない、シルエラの使用人の──
「アリコ!」
 シルエラは指を鳴らすと目を輝かせた。
「素晴らしいタイミングだわ!」
「お待たせいたしました、お嬢様。あとはこのアリコにお任せください」
 そう言って、アリコは仰々しくシルエラに一礼した後、きっ、とクロードを強く睨んだ。強気の態度。
 だが、クロードは露も動じず、下からアリコを見上げるだけだ。
「アリコ・シラサギ、か。……お前、今までシルエラん家からいくらもらってた?」
「そのようなこと、あなた様に教える義理はございません」
「そーよ。っていうか、いきなりいくらもらってたとかあなた失礼──」
「わかった。じゃあ賃金は今までの倍出すから、俺の使用人になれ。業務内容は今までと同じ。そこのシルエラの世話」
「え?」
「何なりとお命じくださいご主人様」
「変わり身早っ! って、アリコォッ! 裏切ったわね!?」
 甲高く喚くシルエラ。既に、アリコはクロードの前、正確には仕事机の下にひざまずいている。
「何も裏切っておりません、お嬢様」
 アリコはきっぱりと芯の通った声で言い切ってきた。目を閉じ、クロードに対する低姿勢はそのまま、忠義に満ちた声で続けてくる。
「わたくしはお嬢様を敬愛しております。そして、お嬢様のお世話をするのが好き。また、お金もこよなく愛しております」
 そこで立ち上がり、シルエラの方へ向き直ると、細い指を組み、祈りの形を取る。
「愛するお嬢様のお世話をさせていただける上に、わたくしのお給金は今までの倍になってハッピー。お嬢様も今まで通り、わたくしの世話を受けられる。それどころかわたくしの給金をお支払する必要がなくなる……何か問題でも?」
「問題……って聞かれると、ないような気がするけど」
「ならばよろしいではありませんか」
「よ、よくない! よくないわ!」
 大慌てでクロードと──正確にはクロードの仕事机とアリコの間に割って入り、大声を張り上げる。
「心配することはありません、お嬢様。今まで通りアリコはお嬢様のおそばにおります」
「いや、そこを心配してるわけじゃなくて!」
「まあっ、使用人に過ぎないわたくしのお金の心配をしていただけるなんて……ですが、ご安心ください。今後のお給金はクロード様が出してくださいますので、なんにもこれっぽっちも心配はいりません」
「いや違う! さっきからなにかが違うわ!」
「さっきからよくないだの違うだの、アレも違うコレも違う……いつからお嬢様はそんな我儘になられたんですか?」
「これあたしがお説教される流れなの!?」
「ご安心ください。このアリコ、今まで以上に誠心誠意、尽くさせていただきます。お給金倍ですし」
「話はまとまったな」
「なんにもまとまってないと思うんだけど!?」
 首だけで背後を振り返れば、クロードが机に頬杖をついて、呆れともつかない息を吐いている。
「じゃあ、何が問題なんだよ」
「何って……」
 いきなり冷水をかけられた気分で、シルエラは口を閉ざした。
 今度はクロードに身体ごと向き直り、落ち着いた口調で返す。
「……結婚なんだから、好きな人とって思うじゃない」
 浮かない顔で答える。なんとなく気分は憂鬱だった。
 クロードから皮肉な笑みが返される。
「ほー、大した純情乙女。結婚なんて俺たちの界隈じゃ単なる手段で、跡継ぎじゃねぇ三番目四番目の娘や息子を他の家に嫁がせたり結婚させたり愛人にさせて、とりあえず繋がり持たせるのなんて常套手段だろ」
「そういう話じゃなくて! っていうか、あなただって、好きでもない女性と結婚なんてしたくないでしょう!?」
「好きだが」
 呼吸が止まった。
 盛大な聞き違いをした気がして、シルエラが固まる。
「あの…、ごめんなさい、えっと、なんか、あたしの頭がおかしくなったかもしれないから、もう一度聞かせて欲しいんだけど、誰が誰のことが好きって……」
「お前のことが好きだった。三年前、お前が家のことで大変になったとき、なんで頼ってくれないんだと憤った。頼るだけの甲斐性が俺にはないのかと自分にも憤った。でも、お前はどの友人とも距離を置こうとしてて、それなら仕方ねぇって思いながら、でも、お前が時折、誤魔化すように苦しそうに笑うのを見るのは嫌だった」
 クロードが静かに椅子を引き、立ち上がる。目線がシルエラより頭ひとつ分高くなり、見上げる形になる。無意識に、シルエラは一歩後ろに下がった。
「お前の家を他の商家が買おうとしているっていう話を聞いたとき、腸が煮えくり返りそうになった。別の男のものなるぐらいなら、金でお前を手に入れようと思った」
 すらすらと、淀みなく。
 真っ直ぐ、一切の揺らぎもなく、クロードが正面から告げてくる。
 低く静かに抑えられた声が、逆に込められた感情の強烈さを物語っていて。
 本気、の二文字が脳裏に浮かんだ。息を飲む。
「あ…たし」
 仕事机を挟んで立つ彼に、何を言うべきかわからない。
 クロードのことをそんな風に考えたことがなかった。
 正確には、この三年、経営に明け暮れてそれどころではなかった。ただ、家のために奔走していた。
 距離をおいた友人たちには申し訳ないことをしたと思っていた。
 クロードも、その中の一人で、そんな彼から今こうして不意打ちで告白されている。
 そんなこと、だって、そんなこと急に言われたって──なにもかもが急すぎて、頭がついていかない。
「お嬢様……」
 と、いつの間にかシルエラの足元で膝をついていたアリコが、見捨てられた子犬のように目をうるませて見上げている。
 シルエラは、うっ、と言い淀んだ。同情を誘う目。五つ年上のくせに、この愛玩動物のように愛くるしい目は何なのか。
「どうか……」
 儚く、淡い色の唇が切なげに音を紡ぐ。吸い込まれる。
「どうか、わたくしのお給金のために」
 ぶつん、と堪忍袋の緒が切れる音がした。
「なに、よ。なによなによなによ……」
 肩を戦慄かせ、クロードを勢いよく指差す。
「あなたが私のことが好きだとかそんなの知らなかったわよ知りもしなかったわよ! 今まで家の問題に押しつぶされそうだったっていうのに、いきなりそんなこと言われたって──なにこれあたしが悪いの!?」
「それは今まで坊ちゃまがあまりにも奥手だったばっかりに……返す言葉もございません」
「さっきからうるっせぇぞじじい!」
「え、お嬢様、本当に気づいておられなかったのですか?」
「なんでアリコが気づいてるのよ!?」
 いちいち高ぶる感情に水を指してくる使用人は、まるっきり意外そうな顔でぽっかりと口を開いている。相変わらずのおっとりとした物言いで、アリコはシルエラの感情の腰を折ってきた。
「お嬢様の周囲にいらっしゃる方がお嬢様にどのような感情を抱いてるかぐらい、このアリコ、当然把握しておりますとも。好意的な方はさておき、度を過ぎるほど非好意的な方にはご・退・場・いただいております」
「うっわ」
「今知りたくなかったわ、その情報」
 クロードと一緒に半眼になる。
 ご遠慮ではなく、ご退場。言葉の具体的な意味を追求したいような追求するのが怖いような。
 なんだか一気に白けたような気分になり、クロードと一緒に、はー、と脱力して肩を落とす。
 と。
「……で、他にもまだ理由と言葉が必要か」
 出し抜けに放たれたクロードの言葉に、再び緊張が走る。声音はいくらか通常のものに戻っているようだが、アイスブルーの瞳は相変わらず研ぎ澄まされている。シルエラを捉えて放さない。
 また、シルエラもクロードから目を逸らせない。逸らしてはいけない。
 きっと今、逸らしたら追ってくる。そうしたら逃げられない。動物的な直感がそう言っていた。
 すると、程なくしてクロードの空気が軟化する。クロードの方から視線が切れる。隙が生まれる。彼は目を閉じると、がしがしと適当に頭をかきながらぼやいてきた。
「まあ、いきなりすぎるっつーのはわかっからよ。お前も色々大変だっただろうから、しばらく時間をおいて考えてもら──」
 その頃には、シルエラはばたばたと部屋から逃げ出していた。

 *

「あんにゃろ……」
「逃げられましたわね」
「ほっほっほ」
「ふっっっざけんな!?」
「奥手が急に本気を出すからこんなことになるんですよ、クロード様」
「シルエラ様に逃げられてしまっては本末転倒ですなあ」
「シルエラあ! てめぇ話の途中でいなくなってんじゃねぇぞ!」
「いやあー! 来ないでぇ!」
「そこかあっ! 逃げんなぁ!」
「いーやーあー!」CLOSE(閉じる)


#サイト未収録
#オスティナート大陸
#本編未収録
novel

2024/4/21/ この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

とある読者さまからの質問

Q:帝都カレヴァラの軍服にスカートはあったんですか?

A:ありましたしハインツがカヤないし、女性隊員にスカートを履いてくださいとお願いしてるというエピソードは実際に存在しますだって作者が履いてほしかっ(強制終了
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誓暦(せいれき)

現在オスティナート大陸で使われている暦。
オルドヌング族がいた頃は、光歴(こうれき)が使われていた。

#サイト未収録
#オスティナート大陸
data
ある少年の独白

察してほしいなんて思わないで。
それができるのなら、とっくの昔にやっている。

by エルス・ハーゼンクレヴァ

#サイト未収録
#オスティナート大陸
エイプリルフールネタ

「カヤ、お前今日でクビな」
「……え?」
「明日からもう来なくていい」
「わ、……かり、ました」
「え?」
「では、荷物をまとめてきますので…。ああ、でも急なことなので、引継ぎのためにせめて1日、時間をもらえればと……」
「待て今日エイプリルフール!!!!!!!」
「——」

心臓に悪い嘘はやめてください byカヤ
まさか本気にされるとは思わなかった byハインツ

#サイト未収録  
#オスティナート大陸
talk
本日のリュシアンとエルス

「被害者が申し立てしなければ、裁判は成立しない、という手段があってだな」
「つまり、魔女疑惑発言を取り下げさせろってか?」
「言い換えればそうなる」
「権力か、権力を屈服させるだけの民衆の支持が必要だな」
「金か煽ればいいのか」

#サイト未収録
#オスティナート大陸
talk
レイ・リコード各キャラの謝り方
(作者による作者の勝手なイメージ)

(なお、本編の表記と異なる可能性あり)(えええ)

[ごめん、ごめんなさい(ね)派]
フィディール「ごめん……、ブランシュ」(※ブランシュとティアが相手の時のみ)
オズウェル「ごめんね、ルーシー」
ティア「ごめんなさい!」
カヤ「ごめんなさいね、オズ君」(※主に相手が年下な時)
アメーリエ「ごめんなさいぃ~」

[悪い、悪かった派]
ハインツ「あ、悪ぃ」
ルーシー「悪かったわね」

[すまない・すみません派]
フィディール「すまない、助かる」
カヤ「すみません、皆さん」
オズウェル「すみません、フィディールさん」(※公的、目上の相手)
ルーシー「すみません、カヤさん」(※公的、目上の相手)

[謝らない派]
エルス・ハーゼンクレヴァああああクソガキャああ(作者がキレた

#サイト未収録
others

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ユスラの自動人形

「山桜桃梅」を語源とする自動人形。

上から順に、

山 :ハル (ヘブライ語で“山”) 
桜 :クラン・シリーニー(ゲール語で“桜”)
桃 :モモ (“桃”)
梅 :フリュネ(フランス語で“梅”であるプリュネから)

ハルとモモは男性の形で、クランとフリュネは女性の形。

#サイト未収録
#オスティナート大陸
data

2024/4/19/ この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

億万長者の鉱山ディーウェス

一攫千金も夢ではないほどの金と銀、宝石などが採れる鉱山。
現在はドミヌス王国に管理されているため、一般人の立ち入りは禁止されている。

(side note)
ラテン語のdives(金持ち)に由来。

#サイト未収録
#ヴェルシエル大陸
data

2024/4/17/ この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

→  Q:赤の反対は?(概念の話)

エルス「……青?」
ティア&トーリ「「緑!」」
カヤ「白」←紅白の概念を持っている
フリア「…白」←文化的あるいは出生的に
アメーリエ「紫ぃ〜」←光の波長において、赤の反対は紫

#サイト未収録
#オスティナート大陸
#ヴェルシエル大陸
talk
→  チピチピチャパチャパ(時事ネタ(違う)

エルス「ちぴちぴ…」
ティア「ちゃぱちゃぱ…?」
エルス「じびじび?」
ティア「じゃばじゃば」
エルス&ティア「「………」」
エルス「ちゃぱちゃぱ」
ティア「ちぴちぴ!」

………

ルーシー「私、たまにあの二人が異世界人か何かに思えてくるのよね…」
カヤ「ルーシーさんはそれでいいと思いますよ」
ルーシー「何か通じ合ったような顔してるけれど、電波で交信でもしてるのかしら。普段は反目してる方が多いような気がするのに」
ハインツ「つか、どっちも黙って聞いてりゃチピチピチャパチャパ」
オズウェル「隊長も大概ですからね?」

#サイト未収録
#オスティナート大陸
talk
→  冠する者

風の王女を冠する賢者
(サラ・シルフィード――本質。あるいは、原罪)

祝福の名を冠する青年
(ユーリー・アシェル――祝福はいずこ)

救世主の名を冠する聖女
(クリスティーヌ・クリストファ――さて、彼女が運ぶ救世主は)

聖母の名を冠する貞女
(マリア・ハーゼンクレヴァ――知は洗練された精神に宿りて)

淑女の名を冠する少女
(マルタ・サフリエニ――彼らは私を救ってくれた)

聖歌の名を冠する少女
(キャロル・スターシア――完全なる純粋な星よ)

#サイト未収録
#旧ネリアン大陸
#オスティナート大陸
#ヴェルシエル大陸
data
→  本日のキャラトーク

今川焼きか
大判焼きか
回転焼きか
べいぐどもちょもちょか

エルス&フリア「「今川焼……」」
ハインツ「回転焼き以外は潰したと思ってたが残党がいたか」
ティア&トーリ「「おやきじゃないんですか?(の?)」」
ルーシー「ちょっと待って!? 大判焼きじゃないの!?」
クィー「くきゅきゅきゅくきゅくきゅ」
フリア&ティア「「べいぐどもちょもちょ!?」」

#サイト未収録  
#ヴェルシエル大陸
#オスティナート大陸
talk

2024/4/16/ この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

→  サイト制作風景

こういうのをネタで面白く書ける人を仰ぎ見る一匹のげっ歯類…
うまくできないですね???₍₍ ◝('ω'◝) ⁾⁾₍₍ ◝( 'ω' )◟ ⁾⁾₍₍ (◟'ω')◟ ⁾⁾<ムズカシイゾ!!!!!
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site making , image

2024/4/15/ この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

→ サイト制作風景

二弾構えのレイアウトも候補に入ったんだけど長文化したときのことを考えたら1段がいいかなって思いましたまる
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site making
→ 創造都市アレント

ドミヌス王国にある都市。
複数性という考え方の下、多様な文化を持つ独特な都市。

(side note)
ドイツ出身のアメリカ合衆国の政治哲学者にして思想家、ハンナ・アレントに由来。

#サイト未収録
#ヴェルシエル大陸
data
→ ブラーナ童話

絵本作家であり、博士であり、一人の母親でもあったエミリア・ブラーナによる童話集。
全17話。

01.二人の主人
02.ブュィブラ英雄譚
03.とある旅人の話
04.ミオソティスの詩
05.シャンテレィンの精霊
06.宝石の娘たち
07.ぬいぐるみになったくま
08.願いを叶えない宝珠
09.あるありふれた人形の話
10.ヴァリスの環
11.妖精がくれた黄金のチーズ
12.公爵ベレンガールと騎士ロメー
13.リムとリザ(既存世界と代替世界に関連)
14.孤独の王
15.カナリアとナイチンゲール
16.ワインの樽
17.グルニカの宝物

#サイト未収録
#オスティナート大陸
#旧ネリアン大陸
#ヴェルシエル大陸
data
→ グリューエナイト

エーテルを蓄積できる希少な石。
ルジストライト、その上位互換であるメルトレリックと同種。
水晶の鍾乳洞ユウェール、億万長者の鉱山ディーウェスなどで採れる。

#サイト未収録
#ヴェルシエル大陸
data
→ オスティナート大陸、三強国

ウェスタの聖火に誓う剣は、王都グラ・ソノル
守護の盾にダフネの花を捧げるは、帝都カレヴァラ
イリスの花に宝珠掲げる乙女は、古都トレーネ

#サイト未収録
#オスティナート大陸
data
→ サイト制作風景

作ったけど使わずに終わるものもありました!笑
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site making
→ 本日のエルスとティア

「お前にとって性別とは記号でしかないんだろうな。俺にとっての俺の名前と同じように」
「……違うんですか?」
「ルーシーあたりを観察してみろ」

感情が豊かなのと情緒が育ってるかは別問題らしい(これなら俺の方が情緒豊かだろ) byエルス

#サイト未収録
#オスティナート大陸
talk
→ お返事

星詠 琴音 さま(2021-12-30)

あああああああああありがとうございますお祝いのメッセージありがとうございます!!!!
とんでもないもったいないとんでもございません!!!!!!!!!!!!(ぶんぶんぶんぶん)
あの…どうか星詠さまがご自身で使いたいものに使ってやっていただいて…それで、星詠さまがほこほこしていただければ久遠悠としてはほんとにそれで十分ですゆえ…!!!(ペコペコ)
お気持ちだけ………!!!
reply
→ お返事

あさ ゆう さま(2021-12-30)

わざわざお返事ありがとうございます(ペコペコ)
な ん か ご 覧 に な ら れ て い る (すっ飛び)

>「世界を作った」って感じ

ひええええええええありがとうございます!!!!
自分の創作の世界というか好きなもの全開にしたいなー!って思いながら作ってたんですけど、そうおっしゃっていただけると嬉しい…嬉しい…(嗚咽)
reply
→ お返事

あさ ゆう さま(2021-12-30)

お祝いのお言葉ありがとうございます!!
メッセージ送信する場所はここでした…(笑)
メールアドレスを入力されなかった場合は、こちらのリプライのページよりお返事させていただいております。
reply
→ お返事
たかば けーさま(2021-12-30)


ありがとうございますありがとうございます…!!!
時間かかりましたけど、たくさん好きなものつめこんで作りました!!
reply
→ お返事
茉莉さま(2021-12-30)


お祝いのお言葉ありがとうございます―――!!!
まだまだ解放されていないところが山ほどあるので、ぽちぽち作って参りますのでよろしくお願いいたします…!!(ペコペコ)
reply

2024/4/14/ この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

→ こぼれ話

第一楽章 第五小節
「もう一人の招かれざる客 – Empty Blue(鳥の飛べない蒼) –」で、ブランシュに閉じ込められた後のフィディールの話

友情出演、カヤとオズウェル。

#本編未収録
#サイト未収録

 カヤ・マツリカの目は同情的だった。
「フィディール、無事ですか?」
「……ああ」
 やってくれる。内心で自分を閉じ込めたブランシュに当たり散らす。
 折り目正しく、栗色の髪の青年──オズウェルが腰を折ってくる。
「す、すみません、フィディール代理執政官!」
「君が謝ることは何もないだろう。僕のミスだ」
「そ、そうですね。隙をついて逃げられた挙句、閉じ込め返されたなんて、ミス以外の何者でもないかもしれませんね!」
 明るくはきはきと悪意なくフォローのつもりで答えてくるオズウェルに、フィディールはやや冷ややかな視線を向けた。
「オズウェル、君はたまに物言いが直截的だな?」
「あ! す、すみません!」
「……構わない。本当のことだからな」
 当たってしまったことを反省する。
 代理執政官であるフィディールと、専属警護を担う親衛隊でもある彼ら〈盤上の白と黒〉の関係およそこのようなものである。
 対外的な主従関係は明確にあるが、仕事仲間といった方が適切だろう。カヤやハインツがフィディールを呼び捨てにしていることも含め。
「オズウェル。ブランシュの件だが、警備隊に連絡を回してくれ」
「了解しました」
「ブランシュの捜索、私も行きましょうか?」
「いや、君は君の仕事を優先してくれ。……ハインツのやつ、まだ見つかってないんだろう」
「まあ、そうですね」
「え、隊長、()()いないんですか?」
 ぴく、とフィディールの耳が動く。
 カヤは知り、オズウェルは知らないだろうが、こちらは徹夜明け。長老たちの協力と支持があったとはいえ養父を謀殺するという大仕事の翌日、計画の要であるブランシュは逃げ出し、おまけに腐れ縁の部下は行方不明。胃がぎりぎりしてくる。ついでに頭も痛くなってくる。
「ええ。いつものことと言えばいつものことですけど。でもまあ、今回は居場所はもうアメーリエに調べてもらってますし」
 カヤの口調は諦めきって慣れきったものだった。心なしか眼差しまで冷めきっている。
 オズウェルが、はは、と乾いた笑みを浮かべる。
 いつものこと。そう、ハインツがいきなりいなくなるのはいつものこと──いつものことであってたまるか。
 ブランシュ同様、行方をくらませているふざけた男の顔が脳裏に浮かび、ふつふつと怒りが湧き上がってくる。
「カヤ」
「はい?」
 二つ年上の、半分友人でもある女性の名を呼ぶ。
「ハインツを捕まえたら、力づくで書類仕事をさせろ」
 その目は、ブランシュに対するもの以上に完全に据わっていた。
 それはもうその通りに、とカヤは微笑みながらうなずいた。

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novel
百花繚燗(ヒャッカリョウラン) ~(モモ)

真華蓮舞流の終戦奥義。
百の花よ、めぐり、あざやかなれ。

(side note)
百花繚乱に由来。
桜は"夢桜"で使ってるからこっちは桃。
百とモモをかけて遊んでる。
異なるバージョンで梅がある。

#サイト未収録
#旧ネリアン大陸
data
冠天慈雨(カンテンノジウ) ~落水(ラクスイ)

天津水流の終戦奥義。
天を冠するは慈しみの雨。

(side note)
"干天の慈雨"と和紙の"落水紙"に由来。
和紙に水で穴を空ける技術を地元では落水と呼ぶ模様。
つまりこの奥義使うと穴が開く(どこに???)

#サイト未収録
#旧ネリアン大陸
data
サイト制作風景

LIBRARYのレイアウトも二転三転したなあ!(供養!)
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site making , image
──Beyond the blue heavens.
(蒼空の向こう)
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預言者(シアーズ)

将来、起こる未来が見える者。
主に第三世界干渉者(ヒストリア族)のことを意味していたケースが多い。

メビウスの悲劇で、一部の第二世界干渉者(オルドヌング族)によって虐殺された。

#サイト未収録
data
ある少年のつぶやき
(エルス)

「全ての事象は何かによって観測されることで定着する。
その観測されたタイミングが今なのか、それとも未来なのか。過去だったのか。人だったのか違うのか。それはわからないけどな。」

byエルス・ハーゼンクレヴァ

#サイト未収録
#オスティナート大陸
talk, others
事象観測

第三世界用語。
世界で起きる事象を観測すること。
主に、可能性の未来を見た時に使われる。

観測された未来の事象は、何らかの手段で定着――確実に起こる未来にすることできる。

#サイト未収録
data
ヘレメアデスの涙

琥珀色をした宝石。
強い力を持つメルトレリックの一つ。

(side note)
ヘリアデスが流した涙が琥珀となったというギリシア神話と、メレアグロスの死を嘆いた鳥たちの涙が琥珀となったギリシア神話から。

#サイト未収録
data
サイト制作風景

「約束のヴェンデッタは竜の歌声と遊ぶ」の前のレイアウト(供養)
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サイト制作風景

旧新着情報用アイコン!(供養!)
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天津水流

其は、天から津々と水が流るるが如し

洸剣:幻雨(ゲンウ)

【技名】
霞一文字(カスミイチモンジ)
雫小町(シズクコマチ)
翡水(ヒスイ)

#サイト未収録
#旧ネリアン大陸
data
真華連舞流

其は、真の華が連なり舞うが如し

煌棍、夢桜(ユメザクラ)

【技名】
水蓮(スイレン)
夜宵椿(ヤヨイツバキ)
刹月華(セツゲッカ)

#サイト未収録  
#旧ネリアン大陸
data
ある聖火騎士の戯言

祈りは天に消え、懺悔は地に沈む。
人は贖いの為に生き、救いの為に死ぬ。
法の裁きは報いでしかなく、罪の許しを与えるものではない。

「法も政治も、神の代理行為でもなんでもないんだぜ?」

by リュシアン・ヴェルブレシェール

#サイト未収録
#オスティナート大陸
talk
ほうせき

・宝石
・方石
・法石

(みち)(のっと)りし、かの者の“いし”は、石か、意志か、遺志か。
それとも、(こころ)か。

#サイト未収録
data
武器資料

エルスが持ってる剣のイメージ
……なんだけど、構造どうなってるんだろうとか、これくっついてるのかなあとか、壊れそうとか思う作者です…笑

#サイト未収録
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各キャラクターを漢字2文字で表してみる

ティアは“命題”
エルスは“相対性”
ハインツは“限界”
リュシアンは“概念”
シルヴェステルは“超越”
クリスティーヌは“完全”
トーリは“蓋然”
フリアは“提唱”
ブライヤーは“永続”

#サイト未収録
others
サイト制作風景

新しいフッターのための街灯作成中〜。
モデルは神奈川県横浜町のガス灯です!
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site making
続:髪を結んであげる話
(フィディールとニコレット)

「髪結ぶリボン、赤と水色どっちがいい?」
「は?」
「リボン、赤と水色どっちがいい?」
「僕は男だからそういうものは似合わな――」
「赤と水色どっちがいい?」
「……」
「どっちがいい?」
「……せめて水色で」
 
#オスティナート大陸
#サイト未収録
talk
髪を結んであげる話
(フィディールとニコレット)

「っと、髪を結ぶ紐が切れたか…」
「結んであげる」
「ありがとう。でも自分でやれるから大丈夫だ」
「結んであげる」
「いや、君の手を煩わせるほどのことでも……」
「結んであげる」
「……じゃあ、お願いしようかな」
「うん」


#オスティナート大陸
#サイト未収録
talk
エ・テメン・ニグルとエ・テメン・アン・キ

「天と地の基礎は畏怖の家を宿し、ロクス・ソルスは人里離れた場所に。聖塔エ・ウ・ニルは信仰の高い所へ。さて、王都グラ・ソノルの弔いの鐘はどこにある?」

言い方がまどろっこしいんだよなぁ by エルス

#サイト未収録
#オスティナート大陸
talk, data
星より生まれ、星を巡り、星に還る。

太古に失われし星の命のかけら。

ラティメリア・メナドエンシス。


#サイト未収録
data
現今(げんこん)

オルドヌング族の真義の一つ。
エーテル濃度に関係なく、エーテルを物質として空間に一時的に固着する技術。
ラティメリア技術と関係があり、オスティナート大陸の帝都カレヴァラに、不完全な形で資料が残されている。


#サイト未収録
data
干渉者と観賞者

かんしょうしゃ。
世界に干わる者と、世界を観る者。

#サイト未収録
data
Domain : 3rd / Type Time
(第三世界 / 時空世界)


ヒストリア族。
司るは、恒常と存在。
生まれいずるは、〈蒼の終点〉。
あるいは、可笑しき〈メビウスの悲劇〉。


#サイト未収録
data
Domain : 2nd / Type Low
(第二世界 / 法則世界)


オルドヌング族。
司るは、 秩序と平和。
生まれいずるは、〈白の始点〉。
あるいは、愛しき〈イドの解錠〉。


#サイト未収録
data
Domain : 1st / Type Element
(第一世界 / 物質世界)


クレアツィオーネ族。
司るは、探究と創造。
生まれいずるは、〈水の交差点〉。
あるいは、虚しき〈アポトーシス事件〉。


#サイト未収録
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七つの海

雲海 ―― 其は、蒼空の上に浮かびし雲の海
砂海 ―― 其は、大地の下に広がりし砂の海
マーテル海 ―― 母なる海よ
リーベリー海 ―― 子なる海よ
鏡海(きょうかい)―― 幻の海は、鏡のように映り
アストエレシー ―― 遥かなる星の海を目指せ
死海 ―― 死の海よ、命に終焉を


#サイト未収録
data
サイト制作風景

Memoryページの作品キーワードの背景、こんな感じで作ってました…笑
楽しかった!!
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