〈 雲海にそびえ立つは、白き塔。世界樹のような塔を、人はフレーヌと呼んだ。 〉
第一小節 はじまりは 白き花が咲き誇る塔の箱庭で
「──幾億の星屑に馳せた想いを謡い 降り注ぐ那由多の祈りを風の調べに乗せて」 冬の始まり。物語のはじまり。少女は歌う。歌い続ける。白き世界樹のような塔の上で。
〈 雲海にそびえ立つは、白き塔。世界樹のような塔を、人はフレーヌと呼んだ。 〉
「──幾億の星屑に馳せた想いを謡い 降り注ぐ那由多の祈りを風の調べに乗せて」 冬の始まり。物語のはじまり。少女は歌う。歌い続ける。白き世界樹のような塔の上で。
「ほら、女の子はデリケートな生き物なんだから包み込むように優しく接しなきゃあかんだろーが」 少女は部屋の外でハインツと名乗る男と、オズウェルという青年と出会う。
夜。すべての生き物が寝静まった夜中。 ひやりと、周囲の温度がいきなり下がったような気がして、ティアは目を覚ました。 ベッドから見上げる石の天井は間違いなくティアの部屋のそれに違いなかった。窓からは中空で光る銀色の月明かりが差し込んでいる。あたりはすっかり静まり返っていて夜もだいぶ更けているようだ。