〈 雲海にそびえ立つは、白き塔。世界樹のような塔を、人はフレーヌと呼んだ。 〉

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第四小節 静謐な嵐

「僕があなたを殺すのは、"彼女が二度とこの世界に生まれてこないようにするため"です」 これは断罪ではない。ましてや贖罪でも。ただ死を死で洗うだけ。

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幕間 王と女王の遊戯

「仕事なんてしたくねええええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!」 隊長と呼ばれる男、ハインツ。今日も開店休業中。

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第七小節 いつか夢見た憧憬のなか

「ブランシュは僕の姉だ。十年前に亡くなった、僕の双子の姉だよ」 フィディールは語りだす。それはティアが初めて聞く、フィディールの話だった。

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第九小節 鳴る筈のない開幕の鐘

 夜。すべての生き物が寝静まった夜中。  ひやりと、周囲の温度がいきなり下がったような気がして、ティアは目を覚ました。  ベッドから見上げる石の天井は間違いなくティアの部屋のそれに違いなかった。窓からは中空で光る銀色の月明かりが差し込んでいる。あたりはすっかり静まり返っていて夜もだいぶ更けているようだ。